日常生活の様々なシーンで起こる可能性のある脱臼。
脱臼が起こると痛みを伴ったり、癖になりやすかったりと、症状に悩まれる方はたくさんいるでしょう。
脱臼は放置したり、自分で何とかしようとしたりするとするのではなく、病院で治療を受けることが大切です。
今回は、脱臼の主な症状から、対処法などについて、解説していきます。
目次
脱臼とは?
私たちの身体には骨があり、その骨と骨の間に関節があります。
関節は一方が受け皿のように、もう一方が受け皿の中に入るボールのような造りになっています。この関節が動くことで肩が動かせたり、肘や膝・指を曲げられたりするのです。
脱臼とは、骨と骨をつないでいるはずの関節が外れている状態のことをいい、その程度により「完全脱臼」と「亜脱臼」2種類に分けられます。
完全脱臼
完全脱臼とは、骨と骨の間の関節が完全に外れてしまった場合をいいます。スポーツや交通事故などの強い外傷によって起こります。
完全に外れてしまっているので、関節や筋肉・靭帯などを損傷していることもあります。
見てわかる程に関節が変形して、外れている関節が全く動かなくなります。また、強い痛みがあり、内出血や腫れを起こすこともあります。
程度のひどい脱臼の場合は手術をして元に戻さなければいけない場合があるため、すぐに病院へ行き処置が必要です。
亜脱臼
骨と骨の間にある関節の一部は接触しているがほとんどが外れてしまっている状態で、不完全脱臼ともいいます。外傷や無理な体勢をした時に起こります。
生まれつき関節の受け皿が小さく亜脱臼を起こすことが特徴でもあり、完全脱臼ほどの痛みはなく腫れや内出血も起こりませんが、外れた関節はほぼ動かず、間接の不安定感があります。
手術はほとんどの場合必要なく、整復や固定で治療します。ただ、先天性のものは手術をして根治治療が必要です。
脱臼の主な症状
脱臼を起こすことで様々な症状があられます。
主に、「痛み」「腫れ」「内出血」「関節の脱力」「関節の変形」などが挙げられます。
ここでは、その症状について解説していきます。
痛み
完全脱臼では外れた関節がその周囲の神経に触れたり、圧迫されたりすることで、関節の周囲の靭帯や筋肉が損傷し激しい痛みを起こします。
亜脱臼の場合は関節周囲の損傷は少ないため、軽い痛みや違和感がある程度です。
腫れ
完全脱臼では外れた関節が周囲の血管を傷つけ、出血することで腫れてくることがあります。また、内出血がなくても関節の周囲が炎症を起こすことで腫れがみられることもあります。
亜脱臼では腫れはほとんどみられません。
内出血
完全脱臼では、外れた関節が周囲の血管や筋肉・靭帯を損傷してしまうと内出血が起こります。内出血は見た目には分からない程度のものもありますが、多量の内出血が起こると皮膚表面の色が変化してきます。
亜脱臼では内出血はみられません。
関節の脱力
脱臼では骨と骨をつなぐ関節が外れてしまうため、脱臼を起こすとその関節は動かなくなります。
完全脱臼ではもちろん、亜脱臼でも関節がうまくはまっていないため、動かすことができません。関節が動かなくなると同時にその関節より先の部分がだらっと垂れ下がったような状態になります。
関節の変形
完全脱臼では「ガクッ」「ボキッ」という音とともに関節が外れ本来の位置からズレてしまいます。関節の位置のズレが起こると、見た目の変形が明らかに分かります。
亜脱臼では激しい音はせず、その部位を見ただけでは分かりにくいですが、反対側の同じ関節と見比べると少し変形しているのが分かる場合もあります。
脱臼が起こりやすい身体の部位
脱臼は全身の関節全てで起きる可能性はありますが、起こりやすい部位がいくつかあります。ここでは、脱臼が起こりやすい箇所として「肩関節」「肘関節」「顎関節」「股関節」について解説していきます。
肩関節
肩関節は腕を動かすために可動域がとても広い関節です。
関節の特徴として受け皿が小さく、脱臼しやすい関節であり、スポーツで強く当たった場合や転んで地面に手をついた時などの外力によって起こります。肩関節の脱臼では肩や鎖骨周囲の痛みや腫れが見られ、脱臼した方の腕が垂れさがるような感じになります。
完全脱臼では上腕骨がずれて見た目に変形が分かることもあります。
肘関節
肘関節の脱臼は、
- 成人の場合は転倒した時やスポーツでの接触、交通事故で起こりやすい
- 幼児では、手が強く引っ張られた時に起こりやすい
ことが特徴としてあります。
肘関節脱臼では、肘関節の周囲に痛みや腫れが出現し、関節の変形が分かる場合もあり、曲げ伸ばしができなくなったり、腕が垂れさがるようになったります。肩関節の脱臼と似ていますが、肘関節だけが脱臼している場合は、肩関節は動かすことができます。
顎関節
顎関節は大きく口を開いたことにより脱臼が起こります。顎が外れている状態ともいえます。
例えば、大きなあくびや歯科治療などで大きく口を開けるときに関節が外れることが原因として挙げられます。
顎関節の脱臼を起こすと、顎がやや下方に下がり、口を閉じようとしても下顎が動かず、口が閉じられなくなります顎の周囲に痛みや腫れが起こり、顎関節が少し陥没して見えます。
股関節
股関節の脱臼で最も多いのは、先天性股関節脱臼です。
生まれつき股関節の形成不全などで脱臼しやすく、それに体位での負荷がかかり股関節を脱臼してしまいます。
赤ちゃんの足は通常M字をしていますが、それを無理にまっすぐ伸ばそうとすると脱臼してしまうことがあります。おむつや服でのしめつけを避け、赤ちゃん体操などで無理に足をまっすぐにしないこと、抱っこするときも足のM字が保てるようにすることが必要です。
脱臼の治療法
脱臼の治療は、症状の程度によって治療方法が異なります。
ここでは、「完全脱臼」「亜脱臼」それぞれの治療法についてお話していきます。
亜脱臼の治療
関節は完全に外れた状態ではなく、周囲の組織にも損傷は少ないため、保存的治療が基本です。
関節を正しい位置でテーピングや三角巾で固定します。2~3週間固定を続け、その後関節を動かすリハビリをします。
完全脱臼の治療
完全脱臼で骨のズレが少なく周囲の組織を損傷していない場合は、レントゲンで透視しながら医師が整復(脱臼した箇所を正常な位置に戻す)を行います。関節が正しい位置に戻ったらテーピングや専用の器具、ギプスなどで固定を2~3週間続け、リハビリに移行します。
ただ、
- 骨が大きくズレている場合
- 周囲の筋肉や血管・靭帯などを損傷している場合
- 骨折を伴った脱臼の場合
には整復の治療を行うことができないことがあります。
周囲の組織を修復し、骨を正しい位置に戻すために手術が必要です。
手術ではプレートやピンなどを使用しズレた骨を正しい位置に固定します。その後リハビリに移行していきます。
また、軽度でも脱臼を何度も繰り返す場合や先天性股関節脱臼など関節に問題がある場合には根治のために手術を行います。
いずれの治療でも、その後のリハビリにより関節の可動域をもとに戻していきます。
脱臼の整復は、誤って行うと逆に周囲の筋肉や靭帯・血管を損傷し重症化してしまうこともあるため、決して自分では行わずに医療機関に受診することが大切です。
ふじた医院の脱臼治療
今回は、脱臼の症状、発症しやすい部位、治療法などについてお話をしました。
脱臼は関節がズレることで起こり、様々な箇所で発症します。
脱臼でお悩みの方は、予防をするために「身体の動かし方」などを理解し、「脱臼しにくい身体作り」に取り組むようにしましょう。
香川県善通寺のふじた医院では、理学療法士や作業療法士といった専門家が「脱臼しにくい身体作り」の指導・アドバイスを行っています。
「私生活で脱臼をしてしまった」「スポーツをしていて脱臼をしてしまった」など、症状にお悩みの方は、一度ふじた医院までお問い合わせください。
医師:藤田博崇
時間:9:00~18:00(土曜日営業、木曜日は13:00まで営業、日祝日休診)
入院あり
住所:香川県善通寺市上吉田町4-5-1
電話:0877-62-0555
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30年以上にわたり、地域医療に根差し、入院、在宅医療も含めてリハビリや手術などの西洋医学だけでなく、整体、マッサージ、鍼灸や漢方等の東洋医学も取り入れるなどあらゆる方法を用いて治療し、症状を改善している病院です。